Web上での集客は、従来のグルメサイト経由で行う手法から、SNSやスマホアプリを駆使するタイムリーなアプローチへ。

フード業界各社は、Web上で獲得した潜在顧客を実店舗への来店につなげるO2O（Online to Offline）マーケティングに力を入れています。これまでのWeb上での集客は、グルメサイト経由で新規顧客を獲得し、来店促進へつなげる手法がメインでした。ですが、ここ最近のトレンドとしてInstagramやTwitterのほか、オウンドメディア、スマートフォンアプリ、動画等を駆使し、顧客に向けてタイムリーにキャンペーンのご案内やクーポンの発行、新商品や店舗のPRを行い、店舗集客を仕掛ける手法が多く用いられるようになってきました。またフード業界のインフルエンサーマーケティングの活用は、ブランディングの構築や新たなファンの獲得、来店促進などで大きな成果を上げています。

マーケティング関連職には、主に４つの職種があります。 求められるのは、SNSやWeb広告などデジタルを駆使できる人材です。

フード業界を支えるマーケティング関連職には、大きく分けて以下の４つの職種があります。それぞれの仕事の役割と、求められる人材の傾向、スキル等についてご紹介いたします。

(1)PR職

フード業界のPR・広報部門では、雑誌やCM、新聞広告などのマスメディアによる発信も行いますが、多くの企業ではPR会社やオウンドメディア、動画やSNSを利用した発信を中心にコストを抑え、最大の効果を発揮することをミッションに課せられながら展開するPR・広報活動が主流です。 会社の広告塔、そしてCSRを担う部署でもあるPR職は、企業内や店舗内でのトラブルやクレームへの対応も求められるため、危機管理対応の経験がある人材は重宝されます。

(2)サービスプロモーション職

フード業界でも52週MDで、シーズンごとの新作と連動した販促企画を立案・実行します。企業や業態にもよりますが、月ごとに新作を発表するケースが多く、歳時記に合わせたメニューや旬の食材を使用したものなど、様々な切り口でプロモーションを企画します。 具体的な仕事の流れとしては、まず年間の販促計画を設定し、各シーズンに展開する商品をもとに、キャンペーンや、広告・販促と連動したプロモーション予算の振り分けを行います。 フード業界は、商品が重要なビジネスであるため、企画開発部門と密に連携した動きが必要となります。従来のメニュー表やPOP、ポスターといった販促物を活用したオフラインのプロモーションも重要ですが、オンライン上での施策も大きなウエイトを占めています。

(3)デジタルマーケティング職

SNSやWeb広告から自社サイトへの顧客誘導および店舗集客がメインの仕事です。店舗で人気のあるメニューを通販向けに商品化し、展開している場合は、サイトへの集客や新規顧客の獲得、物販の売上向上などもミッションになります。デジタルマーケティング職の領域では、経験年数以上に実績が重視されます。SNS運用については、どれだけのフォロワーを増やしたか、Web集客ではどれだけPV/CV数を改善したかなど、成果の棚卸しが必要となります。普段からブログやSNSを使いこなしており、フォロワーを増やすことに長けていることもアピールポイントになるでしょう。

(4)商品企画・開発職

メニュー開発や通販向け商品の企画開発を行うポジションであり、フード業界において売上を左右する重要な職種です。過去の実績やお客様の声、トレンド予測に基づき、時期に応じた旬やトレンドの食材を生かした商品を企画し、キャンペーンや販促と連動した商品戦略の立案・実行を行います。商品開発に取り組む際には、食材の購買や適正な原価を踏まえたものであることや、店舗で提供するメニューの再現性を意識することも大切なポイントとなります。 企業が求める人材の傾向としては、実務経験が求められるケースが多く、和・洋・中などの料理のジャンルや知識、そして食品衛生管理に関する知見も必要とされます。調理経験は必須ですが、ホテル・ウエディング業界出身等、幅広い業界の経験者を歓迎する求人が多いことが特徴です。

フード業界におけるマーケティングの仕事は、人の生活に密着し、自ら仕掛けたことが一大ブームを巻き起こす可能性も。

フード業界におけるマーケティングの仕事は、自社の商品やブランドを世の中に広めるだけでなく、自ら仕掛けたことが一大ブームを巻き起こすほどの話題性やトレンドを生み出す可能性を秘めており、反応がダイレクトに返ってくる点は大きなやりがいとなります。また、ターゲットとなる消費者の五感に訴えかける商品の写真や動画を活用し、その商品を楽しむ空間までをも魅力的に表現するこだわりを追求することが自社のブランド力の向上につながります。限られた予算の中で効果的なマーケティング手法を模索することは容易ではありませんが、人の生活に密着する「食」を扱ったアプローチは自由度が高く、大きなインパクトをもたらすことができる点もこの仕事の面白さの一つです。